ポールの曲のエピソード

 「Yesterday」・「Hey Jude」・「Let It Be」

 上記の3曲は、恐らく誰もが一度は聴いたことがあるビートルズナンバーだろう。なにせ、この内のいずれかは、必ずと言っていいほど学生の音楽の教科書に載っているし、テレビでもBGMとして頻繁に流れるからだ。

 そして驚くことに、この3曲は全て、ポール・マッカートニーによって作られたのである。

 ポールの才能、恐るべし…

  さて、これらの曲について、

 「良い曲だな〜」

 と感じる人は、大勢いると思う。

 しかし、曲に関するエピソードを知っている人は、恐らくファンだけだろう。

 そこで今回は、ファンでなくとも、

「どんな曲なんだろう」

と興味を持っている人もいるかもしれないので、冒頭に掲げた3曲に関して、僕が知っている限りで解説させていただこうと思う。本ブログ読者で僕よりビートルズに詳しい人は、大勢いると思うので、もし記事内に誤りを発見された場合は、コメントで訂正して頂けるとありがたい。

 

1.「Yesterday」

 この曲が、ギネスに認定されている事実を、皆さんはご存知だろうか。

 「世界で最も多くカヴァーされた曲」

 とのことである。

 それだけの名曲ならば、ポールほどの才能の持ち主でも、必死になってアイデアを捻り出した曲だと思われるだろうが、全然そんなことはない。

 就寝中に見た夢の中で、曲のメロディーが流れていたそうである。

 このエピソードを初めて知った時、僕はぶったまげてしまった。

 「嘘だろ、そんなの信じられない」

 これが正直な当時の感想である。

 事実、ポールも目が覚めて驚いたらしい。忘れないように、慌ててギターコードを探したとのこと。

 あまりにもよく出来すぎているので、

 「既に他のアーティストの手で、発表されている曲ではないか」

 と、ポールは疑った。

 ところが、ビートルズのメンバーも含めて、友人・知人に「Yesterday」のメロディーを歌って聴かせても、知っている人は一人もいなかった。

 そこでポールは、

 「これは自分のオリジナルだ」

 と確信し、ビートルズの曲として発表されたのである。

 歌詞は失恋の辛苦を綴っている、失恋ソングに見えるが、実は、ポールが14歳の時に乳癌で他界した実母、メアリーへの想いを歌詞に込めているらしい。

 全米No.1を記録したシングルである。

 アルバム、「Help!」に収録されている。

 

2.「Hey Jude

 ジョン・レノンが、オノ・ヨーコと不倫したことが原因で、妻のシンシアとの離婚が決定的となり、ジョンとシンシアの息子、ジュリアン・レノンは当然、精神的に不安定な状態に陥った。

 そんなジュリアンの姿を見ていたポールが、慰め励まそうとして書いた曲である。

 ポールは、親友ジョンの息子が苦しんでいる姿を、とても痛々しく感じていたのだろう。

 この曲は7分を超える大作で、全米・全英No. 1を記録する大ヒットシングルとなった。発売当時、様々な苦境に立たされていた人達も、曲の歌詞内容に励まされたのではないだろうか。

 「PAST MASTERS VOLUME TWO」に収録されている。

 

3.「Let It Be」

 今日紹介する最後の曲である。何とこの曲も、ポールが就寝中に見た夢からインスピレーションを得たそうである。一体この人の脳はどうなっているんだ…

   ビートルズが次第に分裂に向かい、ジョンとの仲も、ぎくしゃくするという状況で、ポールは思い悩んでいたという。

 すると、夢に母のメアリーが現れ、

 「あるがままに受け容れるのです」

 とポールに語りかけたという。

 この言葉がインスピレーションとなり、作曲に取り掛かったそうである。

 個人的には、ピアノのイントロが、とても綺麗なメロディーだと感じる。

 全米No.1を記録したシングルである。

 アルバム「Let It Be」に収録されている。

 

 以上で解説は終わりである。この3曲は、ポールの近年のライヴ活動では、必ずといって良いほどセットリストに含まれている。それだけ、ポールにとって思い入れが深い曲なのだろう。

 僕は、2013年にポールのライヴを観に、東京ドームまで行き、これらの曲を生で聴けた。

 残念ながらステージから遠い席だったが、

 「教科書に載っている曲を書いた偉人が、その曲を自分と同じ空間で、生で歌っている」

 と思ったら鳥肌が立った。

 今回の記事が参考になり、少しでもビートルズポール・マッカートニーに興味を持ってもらえれば、ファンとしては幸いである。

 今回は以上。

 それではまた!