ミスの犯人探し
本ブログ読者の方々が働いている職場では、ミスで問題が発生した際に、上司がその犯人探しを、躍起になって行なっている事は無いだろうか。
今回は、僕が以前に勤めていた会社で起きた具体的な事例を通して、以下の2点について述べてみたい。
1.ミスで犯人探しが行われる理由
2.巻き込まれない為の予防法
この問題で悩んでいる方は、参考にしてみて欲しい。
1.ミスで犯人探しが行われる理由
会社の体制や、仕事のマニュアル等、仕組みの欠陥には目を背け、問題の本質を見ずに、全てを個人の責任として済ませようとするのが、ミスの犯人探しに躍起になる理由だと思う。勿論、ミスをした本人にも責任は有るので、
"誰がミスを犯したのか"
という事も大切かもしれないが、発生したトラブルに対して、犯人探しだけを日常的に行っている会社は、衰退していくと思う。
僕は以前、ルート配送の仕事をしていた。製造現場で完成した製品が、そのまま倉庫に出て来るので、配送員は各自、必要な量をトラックに積み込んでいく。僕が担当していた顧客は、会社から最も遠い地域に集中していたので、必然的に会社の出発時間も、配送員の中で一番早かった。出発後は、運転に集中したいところだが、週に2〜3回位の頻度でトラブルが発生し、その都度会社から電話が掛かってきていた。その内容は大体、
「会社倉庫に残っている製品数が不足しているので、自身の積み荷の量に間違いが無いか確認せよ」
というものであった。つまり、まだ会社を出発前の配送員が積むべき製品数が、倉庫に不足しているという事で、僕が荷物を過剰に積んでいないかどうかの確認である。
また、その逆に全配送員が出発後に倉庫に製品が余り、手持ちの製品数が納品予定数に対して不足していないか、確認を命じられる事もあった。
このような連絡が、会社を出発して、納品時間に間に合うか気に掛けながら運転している配送員に頻繁に来るのだ。
ここで先ず、会社倉庫の製品数の余り・不足を問わず、ミスをした配送員が特定されるまで、会社は犯人探しを続ける。
ミスをした配送員が特定されたら、積み荷の量が過剰なら、一度会社へ戻って倉庫に返却し、不足の場合は会社から配送員以外の従業員が出動して届けさせられていた。
笑い話だが、倉庫に製品が余り、犯人探しをしたものの、配送員は誰もミスをしておらず、散々騒いだ挙句、製造現場で製品を過剰に造ってしまった事が原因だということもあった。
当然、このような事をしていれば客先の納品時間に間に合う筈がない。また、自身がミスをしていなくても、車を安全な場所に停めて荷台の製品数をチェックするのには、それなりの時間を取られてしまう。
この会社には作業マニュアルや、まともなチェック体制が無く、いつもミスをした人を特定して叱責するだけで、その日の仕事が終われば、
「喉元過ぎれば熱さを忘れる」
で、なんの解決策も考えず、同じ事を繰り返している状態だった。
さらに、この件に限らず、社内でトラブルが発生して犯人が特定されなければ、濡れ衣を着せる事も平然と行われ、僕も巻き込まれそうになった事がある。そこで、以下が僕なりに立てた対策である。
2.巻き込まれない為の予防法
先ずは、与えられている仕事をノーミスでこなし続ける事である。僕は荷物の積み込みを終えた後、出発前に最低でも3回は、間違いが無いか、自分でチェックを行っていた。
上司は、
"全くミスが無いので、あいつには積み荷の確認を行うだけ、時間の無駄だ"
とでも判断したのか、ある時を境に、この種の連絡は僕には来なくなった。仲の良かった同僚の話によると、他の配送員には相変わらず、しつこく犯人探しの連絡をしているようだった…
もう一つ心掛けた大切な事は、自分が担当した仕事の詳細を、ノートに全て記録した事である。日付・指示者・仕事内容等、できるだけ細かく記録を取った。記録を取り始めて暫くして、上司から僕が担当した仕事に関して、照会を受ける機会があり、ノートを見ながら回答した。上司はノートをまじまじと見て、
「何それ」
と質問してきたので、
「責任の所在を明確にする為に、僕が担当した仕事の詳細を記録したノートです」
と答えると、上司は絶句してしまった。
その後、仕事に関して下らない言い掛かりをつけられたり、濡れ衣を着せられそうになる事は全く無くなった。
恐らく、
「面倒くさい奴だ」
とでも思われたのだろうが、自己防衛の為には、このくらいの事はやらなければならないと思う。
因みにこの会社は赤字経営の末、倒産してしまった。このような杜撰な事をやり続けていれば、当然の結果だろう…
誰もが、少しでもストレスを少なく、心地良い環境で仕事をしたいと感じていると思うが、もし今回の記事が参考になれば、取り入れて試してみて頂きたい。
今回は以上。
それではまた!