フリーザの圧倒的な存在感

 漫画「ドラゴンボール」では、主人公の孫悟空と、多くの敵とのバトルが描かれているが、その中でフリーザは、ボスキャラとして異次元の、圧倒的な存在感を示している。

 

 僕は、「ドラゴンボール」は、フリーザ編で完結にすべきだったと思っている。その一番の理由は、

 "フリーザ以上の存在感を持った敵キャラを、「ドラゴンボール」の中で生み出すのは不可能だった"

 と思うからである。

 

 フリーザが、如何に凄い存在か見てみよう。

 

1.界王も恐れる強さ

 サイヤ人編で、地球に襲来しようとするベジータとナッパを迎え撃つべく、悟空は界王の下で修行し、界王拳元気玉という必殺技を身に付けた。界王は、ベジータとナッパの強さについて、

 "その強さは、自分より上"

 という趣旨の発言で断言するものの、恐れている様子は無く、この二人と戦うことを前提に、悟空を鍛えている。

 しかし、フリーザに関しては、界王の様子と発言が、全く違う。サイヤ人編で殺害された仲間を生き返らせるために、ドラゴンボールを求めて悟空が向かっているナメック星に、フリーザの姿を確認した界王は、

 

 ●相手が悪い

 ●最悪の奴

 ●手を出すな

 ●放っておくしかない

 

 という趣旨の言葉を述べ、恐れ慄いていた。この時点でフリーザの戦闘描写は無いが、界王の発言が、その強さを物語っていた。

 

2.明かされた異次元の戦闘力

 フリーザは、ナメック星のドラゴンボールを確実に入手するために、配下であり、全宇宙から集めた精鋭で構成された五人組のエリート部隊、ギニュー特戦隊を呼び寄せた。グルド以外の四人は、ベジータを赤子扱いできる程の強さだった。悟空はナメック星に到着後、隊長のギニューと対決する。界王拳を発動させた悟空は、ギニューの最大戦闘力12万を大きく上回る、18万という数値を叩き出した。

 この直後に、フリーザの戦闘力が判明する。ナメック星人のネイルと戦うことになったフリーザが、自身の口で53万という異次元の戦闘力を明かした。

 

3.三回の変身パワーアップの絶望感

 フリーザの53万という戦闘力は、全力ではなかった。フリーザは、

 "力があり余り過ぎて、自分でも上手くコントロールできない"

   という理由で、平時は力を抑えていた。変身をすることによって、その力は解き放たれる。

 一回目の変身での実力は、

 "戦闘力にしたら100万以上"

 という趣旨の言葉をフリーザ本人が口にし、ネイルと同化して大幅にパワーアップしたピッコロと互角に戦っている。

 二回目の変身では、それまで善戦していたピッコロが、全く相手にならず、一方的にやられてしまった。

 さらに三回目の変身で、真の姿を現したフリーザは、悟空が20倍界王拳元気玉を使っても倒せないほどの、圧倒的な強さだった。これほどの力の差による絶望感を与えた敵は、それまでに存在しなかった。

 

 

 悟空がスーパーサイヤ人になってフリーザを倒した時に天津飯は、

 "悟空の強さは宇宙一になった"

 "遠い世界の人間になったようだ"

 という趣旨の言葉を述べ、界王も、これを認める様な発言をしている。

 だからこそ、ドラゴンボールはここで完結すべきだったと思う。その後のセルや魔人ブウは、強さはフリーザより上という設定だが、敵としての存在感は、圧倒的に下だと感じる。

 他の漫画でも、これほどの存在感が有る敵キャラは中々見当たらない。

 

 今回は以上。

 それではまた!