ジョージの曲のエピソード
ビートルズメンバーの曲のエピソード、第3段である。
今回は、ジョージ・ハリスンの曲のエピソードを3曲、ご紹介しようと思う。
1.「Don't Bother Me」
歌詞は、自分の元を去ってしまった彼女が、戻って来ることを切に願う内容である。
しかしこの曲、単なる失恋ソングではない。
ビートルズ時代に、ジョージが初めて書いた曲なのである。
ただし、少々マニアックな話になるが、ビートルズの前身のクオリーメンというバンドで、ポールとジョージの共作として、
「In Spite Of All The Danger」という曲が発表されている。実質、ポールの作品なのだが、ジョージのギターソロが良く、
「このギターソロがあってこその曲だ」
という話になり、共作という形で作者クレジットは、「McCartney-Harrison」となった。
話を曲の紹介に戻す。ジョージはジョンの友人から手紙で、
「ジョンやポールが曲を書くのに、ジョージはなぜ作らないのか」
と尋ねられた。その返答としてジョージが書いた曲が、「Don't Bother Me」である。訳すと
「ほっといてくれ」
ということだ。(笑)
確かに、自分がジョージなら、同じ心境になると思う。
そもそも行動するということには、積極的か消極的かは別にして、そこに至る動機が存在していて、やりたい事は人それぞれ異なる。したがって、
「誰々が○○しているのに、なぜあなたは□□しないのか」
という質問は、ハッキリ言ってお節介だと思う。
ポールもジョンも、自分の意志で曲を書いていたのである。それまでのジョージには単に、「その気」が無かっただけだろう。
あまり良い評判を聞かないこの曲だが、初めて提供した曲とは思えないほど、個人的には良い作品だと思う。
アルバム「With The Beatles」に収録されている。
2.「Taxman」
ビートルズメンバーの本国、イギリスの税制について、痛烈に皮肉った曲である。曲名を訳すと「税金取り立て人」といったところだろうか。(笑)
いま現在は不明だが、当時のイギリス富裕層に課せられていた最高税率は、95%だったらしい…
目玉が飛び出そうな税率である。ビートルズの一員として稼ぎまくっていたジョージは、とんでもない金額を納税していたことだろう。その不満が爆発して、この曲の歌詞となったと思われる。
「もしあなたが車を運転するなら、道路に税金を掛けましょう」
「もしあなたが座るなら椅子に税金を掛けましょう」
「もしあなたが寒いなら、暖を取るのに税金を掛けましょう」
「もしあなたが散歩するなら、その足に税金を掛けましょう」
と、税制を皮肉る痛烈な歌詞が、これでもか、これでもかと続く。
英語ができない僕としては、この曲の聴きどころは痛烈な皮肉ではなく、ポールが弾いた素晴らしいギターソロである。(笑)
アルバム「Revolver」に収録されている。
3.「Something」
文句無しの名曲であり、ビートルズ時代にジョージが書いた曲で唯一、シングルA面で発売された。
※ジョン作の「Come Together」と共に両A面という形で発売。
アメリカのヒットチャート・ビルボードで1位を記録している。ジョンは曲のクオリティを絶賛していたそうだ。
この曲の聴きどころは、ポールのベースだと思う。作者のジョージは、
「ポールのベースは弾きすぎだ」
と言っているが…
ポールやジョンが書いてきたビートルズの傑作と比較しても、遜色ないほどの作品だ。
マイケル・ジャクソンがジョージと会話をしていて「Something」の話題になった際に、
「あなたの作品なんですか。Lennon-McCartneyだと思っていました」
と口にしたそうだ。ジョージに失礼な気がするが、この曲のクオリティがそれほど高いということだろう。
以上で紹介を終わる。ポールやジョンよりも、ビートルズ時代に書いた曲は少ないが、ジョージも天才である。
少しでも興味を持ってくれた人は、本記事で紹介した曲を含めて、ぜひビートルズを聴いてみて欲しい。
今回は以上。
それではまた!