怒りの感情の怖さ

 今回は、僕が以前に勤務していた職場で起きた出来事を通し、怒りの感情と、その心のままに行動することの怖ろしさを、お伝えしようと思う。

 その会社で、僕は配送の仕事をしていた。顧客は固定されている、いわゆるルート配送だった。

 積荷は、会社の倉庫に置いてある商品を、ほぼそのまま、トラックに積むだけでよかったが、一部の商品については加工が必要だった。

加工担当の社員が、現場で作業に当たり、終了次第、僕に加工品を手渡してくれる段取りになっていた。つまり、加工品の出来上がりが遅くなれば必然的に、僕が会社を出発する時間も遅れる事になる。

 加工担当の社員とは、僕は人間的に性格が合わなかった。こちらから、何か悪い事をした記憶は無いが、常に僕には冷たい態度で接してきて、悪態をつく事もあった。こちらが無自覚なだけで、もしかしたら相手の怒りを買う様な言動をしていたのかもしれないが…

  また、この社員は社長の事を嫌っていて、常に悪口を言っている人だった。

 そんな状態の中で、とんでもない事が起きた。ある時、連日の様に加工品を渡される時間が遅くなり、僕が顧客への納品時間に遅刻する日が続いた。僕は毎日の様に加工品の仕上がりが遅れる事に不審を抱いていたが、ニ週間程度で、事の真相は発覚した。信じ難い事だが、この社員は出来上がった加工品を、自分の手元に隠していて、僕が遅刻してしまう様な絶望的な時間になってから持って来ていたのだ。

 社長や僕に対して、人間的に嫌悪感を抱いているというのは仕方がない話だが、客先に迷惑を掛ける形での嫌がらせが行われた事には、怒りを通り越して呆れるだけだった。

 事が発覚してからは、それまでとは比較にならないスピードで、加工品は用意された。

 この事を通して思うのは、衝動的な怒りの怖ろしさである。人間は感情が爆発すると、時に見境いがつかない様な姿になってしまうことがあると思う。ニュースで見る凶悪犯罪は、その典型的な姿だろう。

 人間である以上、怒りの感情を全く持たないのは無理な話だが、感情のコントロールは本当に大切な事だと感じる。

 改めて上記の出来事を振り返ってみると、僕も他人事と思ってはいけないとの思いに駆られた。

 今回は以上。

 それではまた!