ポール・マッカートニーの精神力

 ポール・マッカートニーの凄さは、様々な観点で語ることができると思う。

 

 ポールは、言わずと知れたビートルズの一員であったが、ビートルズは「最も成功したグループアーティスト」としてギネス認定されている。

 

 また、ビートルズ時代にポールが作曲した「Yesterday」は、「世界で最も多くカヴァーされた曲」として、これまたギネス認定されている。

 

 さらにポールは、本業のベースだけでなく、様々な楽器を演奏できるマルチプレイヤーだったりもする。

 

 この様に、ポールの凄さは様々な観点で語る事ができるが、僕が最も凄いと感じるのは、常人離れした、逆境に強い精神力である。

 

 今回は、ポールの精神力の強さを示すエピソードを、一つ紹介しようと思う。

 

 それは、ビートルズ解散後にポールが新たに結成したバンド、ウイングスの大傑作アルバム「Band On The Run」の制作過程で起きた事だった。

 因みに「Band On The Run」は、全米・全英チャートで首位を記録した大ヒットアルバムだ。

 この輝かしい結果だけを見れば、

 「どこが逆境だよ」

 と思うかもしれないが、このアルバムが完成するまでは、逆境の嵐だった。

 

 先ず、アルバムのレコーディング直前になって、メンバーが二人もバンドを脱退してしまった。これはアルバムの完成に多大な影響を与える出来事だと思うが、ポールは予定通りにレコーディングを開始すべく、残った三人のメンバーで、スタジオがあるナイジェリアのラゴスへ向かった。

 

 次に、アルバム制作が完全に不可能になると思われる、重大事件が起きた。

 ナイジェリア滞在中の、ある日の晩、ポールが当時の妻のリンダと共に散歩をしているところを、強盗に襲われた。その際にアルバム用に書いた曲のデモ・テープと、歌詞ノートが貴重品とともに奪われてしまった。

 

 常人の精神状態なら、もうアルバムの制作どころではないだろう。殺されていても、不思議ではなかった状況である。僕がポールの立場だったら考えるのは、一刻も早い、本国イギリスへの帰国である。

 

 しかしポールは、構成が思い出せない曲は捨て、代わりにいくつか新しい曲を書くという形で、ナイジェリアでのレコーディングを続行した。

 

 さらにポールは、煙草の吸いすぎによる気管支痙攣でスタジオで倒れ、病院に搬送されるという目にも遭った。これは完全に自業自得と言えなくもないが、災難には変わりない。

 

 この様に、「Band On The Run」が完成するまでは、まさに逆境の連続であった。それを全て乗り越えての大ヒットである。

 

 生きていれば、様々な逆境に立たされる事があるが、ポールの精神力を、僕も見習いたいと思う。

 今回は以上。

 それではまた!