ジョン・レノンのYesterdayへの嫉妬

 ポール・マッカートニーが、ビートルズ時代に作曲した不朽の名曲、「Yesterday」に対して、ジョン・レノンは嫉妬心を抱いていたのではないだろうか。

 

 この事を説明する前にまず、「Yesterday」がいかに凄い曲であるかを、述べてみよう。

 ポールは、この曲を夢の中で作曲し、目を覚ました時にメロディが頭の中に残っていたそうだ。ポールは、朝食前に夢の中で完成していた曲という事で、「Scrambled Eggs」という仮タイトルを、最初は付けていたらしい。その曲名で発表されなくて良かった。美しいメロディが台無しになる気がする。(笑)

 

 作曲におけるエピソードも凄いが、他のアーティストに与えた影響も多大で、「Yesterday」は世界で最も多くカヴァーされた曲として、ギネス・ワールド・レコーズに認定されている。

 

 さて、本題に戻るが、「Yesterday」に対してのジョン・レノンの言動を見ると、嫉妬心が垣間見えてくる。ジョンは、

 「よくできている。素晴らしい。自分の曲だったらと思った事は一度も無いけど」

 と述べ、「Yesterday」に対して褒めながらも、皮肉で発言を締めている。

 また、ジョン自身が「Yesterday」の作者だと勘違いされる事も有ったらしく、そんな状況に辟易していたらしい。

 さらに、極めつけは、ジョンのソロアルバム「Imagine」に収録されている、「How Do You Sleep?」の歌詞でポールに対して、

 「お前の傑作なんて、『Yesterday』だけだ」

 と痛烈に罵っている。

 これらの言動の真意を推察するに、

 

 「Yesterday」は、本当はジョンが、自分の曲だったら良かったと思う程の名曲だったが、現実の作者はポールであり、ジョンを作者と勘違いして寄せられる称賛の声は、本来はポールが浴びるべきものだった。この鬱憤が、仲違いをしたポールに対して、嫉妬心を抱いていた「Yesterday」を取り上げての、曲の歌詞での口撃となって表現されたという事ではないだろうか。

 

 ジョンは、彼の代表作とも言うべき「Imagine」を書き上げた際に、

 「ようやく『Yesterday』と同じくらいの名曲が作れた」

 と語って喜んだという。この発言は、ジョンの中でずっと「Yesterday」に対して、複雑な気持ちが有った事の証拠だろう。

 

 それにしても、ジョンに対してこの様な感情を抱かせる曲が書けるのは、恐らくポールだけだろう。

 

 そして、ジョンも本当は、ポールの圧倒的な音楽の才能を認めていて、

 

 「俺が音楽界に残した最大の功績は、ポール・マッカートニーを発掘したことだ」

 と述べている。

 

 その様な、生きる伝説とも言うべきポール・マッカートニーが、78歳を迎えた現在も現役で、新作を出し続けてくれているのは、本当に凄くて有難い事だ。

 

 今回は以上。

 それではまた!