A Hard Day's Nightのポール
ビートルズのサードアルバム「A Hard Day's Night」は、カヴァー曲無しの、初の全曲オリジナルである。13曲が収録されていて、ジョン作が10曲・ポール作が3曲と、作曲数は圧倒的にジョンの方が多い。
一般的にこのアルバムは、
「ジョンの才能が爆発」
「ジョンの創造力がピークに達した」
等と、ジョンの功績ばかりが評価されて目立っている。
しかし、このアルバムに収録されているポールの作品のクオリティの高さは、尋常ではない。アルバム内の、ジョンの作品に全く引けを取っていない。
そこで今回は、アルバム「A Hard Day's Night」に収録されているポール作の3曲を紹介し、その多大な貢献度を述べてみようと思う。
1.「And I Love Her」
ポールは、デビューアルバムの「Please Please Me」では、「P.S. I Love You」というバラードを手掛けているが、これは名曲とは言えないレベルである。
また、セカンドアルバムの「With The Beatles」では、「Till There Was You」というミュージカル用に書かれた名曲バラードを歌っているが、これはカヴァーである。
そこに、サードアルバムで、遂に自作バラードの名曲、「And I Love Her」が来る。この曲はジョンをして、
「Yesterdayの前触れになる曲」
と言わしめるほど、美しいメロディである。個人的には「Yesterday」以上の名曲だと思う。ポールの2013年の東京ドーム公演では、原曲に忠実なアレンジで、この曲が披露された。当時71歳のポールのヴォーカルは当然、ビートルズの頃と比較すれば圧倒的に衰えていた。しかし、原曲のキーのまま、この美しい曲を歌い上げるポールの姿は輝いて見え、鳥肌が立ったのを憶えている。
個人的には、この曲を聴く為だけにアルバムを購入しても、損は無いと思えるほどの大傑作である。
2.「Can't Buy Me Love」
ノリが良いロックで、間奏の荒々しいギターが印象的である。
タイトルを見てわかる通り、
「愛はお金じゃ買えない」
とのメッセージ・ソングとなっている。
ポールのライヴでは、定番と言っても良い頻度で、セットリスト入りしている。
3.「Things We Said Today」
「ジャカジャン」
というギターのイントロから始まる、マイナー調のメロディの曲である。この曲のクオリティも、ジョンが褒めている。
この様にポールは、それぞれ全くタイプの違う作品を、アルバムに3曲、提供している。しかもそれが、ライバルのジョンも認めるほどの名曲揃いなのだ。いかにポールの作曲能力が幅広いか、よくわかる。
ジョンの「A Hard Day's Night」での活躍振りは、確かに凄まじい。しかし、ポールが提供した上記の3曲が、アルバムの完成度を大いに引き上げ、多大な貢献を果たしている事を、もっと正当に評価して欲しいと感じる。
今回は以上。
それではまた!
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