名探偵コナン・レビュー6

「幽霊屋敷殺人事件」

    (コミックス2巻収録)

 

      登場人物

  江戸川コナン

  小嶋元太(こじま げんた)

  円谷光彦(つぶらや みつひこ)

       吉田歩美(よしだ あゆみ)

       阿笠博士

 

  事件関係者

  昭夫の父(被害者)

       昭夫(あきお・男性・犯人)

       昭夫の母

 

  事件の動機

  父親からの侮辱への怒り

 

 

 江戸川コナンとは帝丹小学校の同級生で、今後、少年探偵団として活躍する、小嶋元太・円谷光彦・吉田歩美の3人が初登場した話である。

 

 コナンは、学校で吉田歩美から唐突に、近所の洋館でのお化け退治に誘われる。その洋館は、5年前に家主の男性が何者かに殺害され、同居していた妻と息子は引っ越して、空き家になっているとのことであった。

 

 歩美の話によると、その洋館では

 

 ●夜中に恐ろしいうめき声が聞こえる

 ●迷い込んだノラ犬が、次の日に骨になって発見される

 ●窓に人魂が映っている

 

 等の怪奇現象が起きていて、それを歩美は、お化けの仕業だと思い込み、退治しに行こうと考えているのだ。話の一部始終を聞いていた円谷光彦は、科学の本を手に持ちながら、

 "科学の時代に、そんなものがいるわけない"

 という趣旨の事を呆れた顔で言うものの、この発言に対して小嶋元太が怒って、

 "お化けがいない事を証明する"

  のを、光彦に要求した。光彦は、半ば強制的にお化け退治に参加させられる事になったのだった。(笑)

 

 初登場時の元太には、乱暴な言動が見受けられ、まるでドラえもんに登場するジャイアンの様だ。その後は、

 "食いしん坊で、おっちょこちょい"

  というイメージが定着し、憎めないキャラになっている。

 

 翌日の放課後、コナン・元太・歩美・光彦の4人は、洋館前に集合する。正面の門が開かないが、元太が見つけた秘密の入口から中に入り、館内を探索する。コナンは、元太達の何気ない行動を見て、

 

●人目につかない場所に作られた秘密の入口

●止められていない水道

●窓が開いているのに、雨や風にさらされた様子が無い部屋

 

 という3つの観点から、洋館に何者かが出入りしていると確信する。元太達は、何も不思議に感じていない様子を見ると、やはりコナンは、

 "見た目は子供だが、頭脳は大人"

 である。(笑)

 

 洋館内で元太・光彦の2人が、相次いで行方不明になってしまう。その後、コナンと歩美は、何かを運んでいる髪の長い女性を発見する。追跡を試みるも、その人物は行き止まりで突如として、姿を消してしまった。コナンが床に扉を発見するも、自力で開く事ができない。

 

 ここで、またも阿笠博士の発明品である

「伸縮サスペンダー」が初登場する。これは、ボタン一つでゴムが伸び縮みするメカで、コナンは壁と扉にサスペンダーを引っ掛け、ゴムが縮む際の力を利用して扉を開けた。

 

 地下へと続く階段を下りると、オリの中で、髪と髭が伸びきって、まるで獣の様な男が奇声を発していた。そこへ、コナンと歩美が追跡するも、見失ってしまっていた髪の長い女性が現れた。女性は獣の様な男に対して、

 "5年も前の事だし、死んだ人はもう戻らないのだから、早く忘れなさい"

  という趣旨の話をしていた。コナンは話の内容から、

 

●オリに入れられているのは、洋館の家主の息子であること

●洋館の家主は息子に殺害されたこと

●髪の長い女性は、洋館の家主の妻であること

 

の3つを確信した。女性は、父親を殺害した息子の昭夫を、犯罪者にしたくない一心で、オリの中に閉じ込めていたのである。洋館の怪奇現象の一つ、

 "夜中に恐ろしいうめき声が聞こえる"

 というのは、昭夫が罪の重さに耐えかねて発した苦悩の声だった。昭夫は自首しようとしたが、母親はそれを許さなかった。母親が、

 "もう少しで時効、黙っていれば誰にも"

 という趣旨の事を言っているが、時代の流れを感じる発言だった。殺人罪の公訴時効は、平成22年に廃止されている。因みに、今回の話が収録されている、名探偵コナン・コミックス2巻の1刷が発刊されたのは、平成6年である。

 

 最後にコナンが、

 "あなたは一生この重荷を、息子に背負わせる気なのか"

  という趣旨の発言で昭夫の母親に迫り、2人を自首させる事に成功した。

 

 犯行動機は、受験に失敗した事を父親から、侮辱を込めた言葉で辛辣に責められた事への怒りだった。

 

 因みに行方不明になった元太と光彦は、館の外の草ムラで眠っていた。昭夫の母親に麻酔薬をかがされて、外に放り出されたのだった。

 夜が明けて洋館から出た4人は、それぞれの保護者からこっぴどく叱られるも、懲りることなく次のお化け屋敷を見つけて、再び冒険に行こうとするのであるが、そこは工藤新一の家というオチであった。(笑)

 

 お化け退治を目的として入った洋館で、迷宮入りする筈だった殺人事件を、子供だけで解決に導いたのは、ハッキリ言って凄い事である。小学1年生とは思えない少年探偵団の活躍は、その後も続いていく。

 

 今回は以上。

 それではまた!