コナン・エピソードONE レビュー
「名探偵コナン エピソードONE」は、2016年に金曜ロードSHOW!で放送された、アニメのスペシャル番である。後に、アニメコミックスとして発売されてもいる。
本作は、主人公の高校生探偵・工藤新一が、黒の組織のジンにより、APTX(アポトキシン)4869という毒薬を飲まされ、身体が縮んで幼児化し、その後、江戸川コナンとして活躍を始めていくまでのストーリーを描いたものである。大筋は、原作コミックス1巻に収録されている内容と同じだが、エピソードONEでは、工藤新一が、トロピカルランドでジンとウォッカに遭遇するまでの出来事が、より細かく描かれている。以下で、いくつか紹介してみよう。
1.黒の組織の残忍性
ジンは、裏取り引きを目的としてトロピカルランドに訪れる前に、組織に潜入しているスパイと発覚した人物を、車に仕掛けた爆弾で殺害している。
また、トロピカルランドでの黒の組織との取り引き相手が、罠を仕掛けている可能性を考慮し、その場合は相手を始末するために、狙撃手のキャンティとコルンも同行させていた。取り引きの内容は、拳銃密輸の証拠データをネタに大金を要求するという恐喝行為だったが、真の目的は、取り引き相手の会社が存在する土地から立ち退かせ、そこに新しく組織のラボを作ることだった。
この様に、目的と組織防衛の為には手段を選ばない残忍性が、原作よりもハッキリと描かれている。
2.少年探偵団のメンバーの登場
新一が、蘭と二人で歩いている際に、サッカーをして遊ぶ、後の少年探偵団のメンバーである、元太・光彦・歩美に遭遇する。原作での彼等の登場は、コミックス2巻からである。原作に多く登場する主要メンバーであることから、新一が幼児化する前に、僅かながら接点を持たせようと考えたのだろう。
3.蘭出場の空手・都大会決勝の描写
空手の都大会で蘭が優勝することが、新一にトロピカルランドに連れて行ってもらう条件であり、優勝という結果だけは、原作でも描かれていた。しかし、エピソードONEでは、都大会決勝戦での蘭と和田陽奈選手の格闘シーンが出てくる。推理物なのに、まるでバトル漫画の様だ。(笑)
この和田は、並の強さではない。街中で、ナイフを片手に襲い掛かって来た男性のひったくり犯を、素手で制圧するほどである。
試合は、最初は蘭の劣勢であったが、応援に来ていた新一が、事件の捜査をきっかけに途中で退出したことに蘭が怒り、そのパワーで和田に勝って優勝した。
この様にエピソードONEは、原作で描かれていない部分を補足し、新一が幼児化するまでの話の背景を、よりわかりやすくしている。原作者の青山剛昌氏が、全面的に監修しているだけあって、とても良くできたストーリーだった。
原作が好きな方は、一度は観てみることをお勧めしたい。
今回は以上。
それではまた!
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