名探偵コナン・レビュー1
日本を代表する推理漫画といえば、名探偵コナンと、金田一少年の事件簿だろう。
名探偵コナンは平成6年に、金田一少年の事件簿は平成4年に、それぞれ連載が始まっている。コナンは、令和3年現在も連載中で、金田一は、少年時代のストーリーが終わり、その20年後を描いた続編である「金田一37歳の事件簿」として、形を変えて連載されている。
両者の大きな違いは、金田一では作中において必ず殺人(未遂もある)事件が発生するが、コナンは必ずしも、そうとは限らないということである。コナンにおいては、殺人事件の他にも、主人公の江戸川コナン(工藤新一)と、その友人で構成される少年探偵団が、力を合わせて悪人と戦ったり、怪盗キッドという泥棒と、知恵比べとも言える勝負をするストーリー等も描かれている。そして何よりも、工藤新一にAPTX(アポトキシン)4869という毒薬を飲ませて、身体を幼児化させた黒の組織との対決が、名探偵コナンの最大の目玉である。
両者とも、作中の事件におけるトリック等を考察・解説したサイトは、山ほどある。よって、事件の犯人の動機や、登場人物の人間関係について感じた事を、僕なりに書いてみようと思う。
今回は、名探偵コナンのレビュー第1回目である。
●「ジェットコースター殺人事件」(コミックス1巻収録)
登場人物
工藤新一
毛利蘭
ジン
事件関係者
岸田(男性・被害者)
ひとみ(女性・犯人)
愛子(岸田の彼女)
友人A(女性・氏名不明)
警察関係者
目暮警部
事件の動機
恋愛関係のもつれによる復讐
この事件は、工藤新一と、黒の組織の構成員であるジン、ウォッカとの出会いを描く上でのオマケ的な存在だろう。
工藤新一は、幼なじみである毛利蘭と、デートで来たトロピカルランドにおいて、殺人事件に遭遇する。二人が乗っていたジェットコースターがトンネルを潜った直後、新一の真後ろに乗っていた岸田の首が飛んで死亡する。ジェットコースターには、闇取引の相手の姿を確認する為に、黒の組織のジン、ウォッカも同乗していた。
ジェットコースターのスピードとパワーを利用して首を飛ばすという、残忍な殺害方法が物語っているが、犯行動機は復讐である。岸田は元々、ひとみと付き合っていたが、愛子に乗り換えてしまい、それが許せずにひとみは犯行に及んだ。岸田殺害の罪を愛子に被せて、自身も犯行後に自殺する為に大量の睡眠薬を所持していたが、新一に真相を見破られて警察に逮捕された。
ひとみは、
"あなた達と会う前から、私達は結ばれていた"
という趣旨の発言を、愛子と友人Aに対してしている。よって愛子は、ひとみが過去に岸田と交際していたという事を知らなかったのかもしれない。仮にそうであれば、付き合っていた彼氏を友人に殺害され、さらに殺人犯の汚名まで着せられそうになったという点で、一番の被害者は愛子だと思う。
この事件解決の直後、人気の無い場所でウォッカが闇取引を行う現場を目撃した新一は、背後からジンの不意打ちを食らって昏倒し、APTX4869を飲まされて身体が幼児化してしまう。
前に述べたように、メインは黒の組織との出会いを描く事であるから、発生した殺人事件そのものは、凝ったトリックや演出は無く、1話で解決するという単純なものだった。その後のストーリーでは、事件発生から解決まで大体、3〜4話の構成という形が多い。
事件が単純で短いだけに、一番印象に残ったのは、取り引き相手が一人で来ている事を確認する為だけに、ジェットコースターに仲良く並んで乗り込んだジンとウォッカの姿だった。(笑)
今回は以上。
それではまた!
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