コナン・エピソードONE レビュー

 「名探偵コナン エピソードONE」は、2016年に金曜ロードSHOW!で放送された、アニメのスペシャル番である。後に、アニメコミックスとして発売されてもいる。

 

 本作は、主人公の高校生探偵・工藤新一が、黒の組織のジンにより、APTX(アポトキシン)4869という毒薬を飲まされ、身体が縮んで幼児化し、その後、江戸川コナンとして活躍を始めていくまでのストーリーを描いたものである。大筋は、原作コミックス1巻に収録されている内容と同じだが、エピソードONEでは、工藤新一が、トロピカルランドでジンとウォッカに遭遇するまでの出来事が、より細かく描かれている。以下で、いくつか紹介してみよう。

 

1.黒の組織の残忍性

 ジンは、裏取り引きを目的としてトロピカルランドに訪れる前に、組織に潜入しているスパイと発覚した人物を、車に仕掛けた爆弾で殺害している。

 また、トロピカルランドでの黒の組織との取り引き相手が、罠を仕掛けている可能性を考慮し、その場合は相手を始末するために、狙撃手のキャンティとコルンも同行させていた。取り引きの内容は、拳銃密輸の証拠データをネタに大金を要求するという恐喝行為だったが、真の目的は、取り引き相手の会社が存在する土地から立ち退かせ、そこに新しく組織のラボを作ることだった。

 この様に、目的と組織防衛の為には手段を選ばない残忍性が、原作よりもハッキリと描かれている。

 

2.少年探偵団のメンバーの登場

 

 新一が、蘭と二人で歩いている際に、サッカーをして遊ぶ、後の少年探偵団のメンバーである、元太・光彦・歩美に遭遇する。原作での彼等の登場は、コミックス2巻からである。原作に多く登場する主要メンバーであることから、新一が幼児化する前に、僅かながら接点を持たせようと考えたのだろう。

 

3.蘭出場の空手・都大会決勝の描写

 

 空手の都大会で蘭が優勝することが、新一にトロピカルランドに連れて行ってもらう条件であり、優勝という結果だけは、原作でも描かれていた。しかし、エピソードONEでは、都大会決勝戦での蘭と和田陽奈選手の格闘シーンが出てくる。推理物なのに、まるでバトル漫画の様だ。(笑)

 この和田は、並の強さではない。街中で、ナイフを片手に襲い掛かって来た男性のひったくり犯を、素手で制圧するほどである。

 試合は、最初は蘭の劣勢であったが、応援に来ていた新一が、事件の捜査をきっかけに途中で退出したことに蘭が怒り、そのパワーで和田に勝って優勝した。

 

 この様にエピソードONEは、原作で描かれていない部分を補足し、新一が幼児化するまでの話の背景を、よりわかりやすくしている。原作者の青山剛昌氏が、全面的に監修しているだけあって、とても良くできたストーリーだった。

原作が好きな方は、一度は観てみることをお勧めしたい。

 

 今回は以上。

 それではまた!

 


 

 

 

東京オリンピックの危険性

 未だに本年(2021年)の東京オリンピックについて中止決定のアナウンスは無く、開催に向けて準備が進められているという事実は、個人的には到底、受け入れ難い。

 

 既に東京オリンピックに出場予定の海外選手団の第一陣として、オーストラリアの女子ソフトボールの選手が、6月1日に来日したとのことである。

 

 菅総理大臣は、

 「安心、安全なオリンピック」

 という言葉を口にされているが、僕にはどうしても、

 「不安、危険なオリンピック」

 としか思えない。

 

 以下で、その理由を述べてみたい。

 

 1.新型コロナと熱中症のダブルパンチ

 

 今年の夏は、かなりの猛暑になることが予想されている。暑さのピークは、7月下旬と8月下旬の2回になる予想だが、東京オリンピックの開会式は、7月23日が予定されている。まさに、1回目の暑さのピークと被っている。35℃以上になると思われる猛暑下で競技を行えば、いかにアスリートといえども、熱中症患者が続出するだろう。新型コロナウイルス感染症熱中症は、似たような症状が多く、区別が難しいとのことだ。

 この様な状況で医療従事者は、オリンピック競技で発生した体調不良者の救護に当たるのである。あまりにも危険極まりない。しかもオリンピックは、世界各国から選手が来日する。言語が通じずに、意思疎通を図るのが難しい状況下で、果たして適切な処置が行えるのだろうか…

 

2.新たな変異株発生と国内及び世界への拡散の恐れ

 

 言うまでもないが、新型コロナウイルスは全世界で感染が拡大している。その中でウイルスは変異を繰り返し、従来株よりも感染しやすく、重症化しやすい可能性があるというイギリス株や、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性があるという、南アフリカ株等が確認されている。繰り返しになるが、オリンピックでは世界中から選手と関係者が、東京またはその隣県に集まる。つまり、世界中の新型コロナウイルスを、日本国内に集めてしまう可能性も高いということだ。もし、世界中のウイルスが集合して新たな変異株を発生させ、そんなものが日本国内及び世界へ拡散されたらと思うと、背筋が凍る思いになる。

 

 

 この様に、新型コロナウイルスが全世界で感染拡大している状況下で、さらに猛暑の中でオリンピックを開催することは、あまりにも危険だと思う。あまり考えたくないことだが、開催中に死者が出てしまう可能性も、否定できないだろう。国際オリンピック委員会(IOC)が、東京オリンピック参加予定の選手らに提出を義務づける参加同意書では、

 「コロナやその他の感染症、猛暑により、健康被害や死亡に至る可能性がある」

 ことに同意を求めているとのことだ。

 

 参加選手は勿論、その後の日本国民や全世界の人々に、危機をもたらす可能性を伴ってまで、オリンピックを開催すべきではないと思う。オリンピックを見つめて努力を重ねてきた選手には、とても不憫な話ではあるが、事は人命に関わる。

 

 オリンピック開会式の日付は、刻々と迫っているが、関係者の方々には、いま一度、大会開催の危険性を、よく考えて頂きたいと思う。

 

 今回は以上。

 それではまた!

 

 

 

 

 

A Hard Day's Nightのポール

 ビートルズのサードアルバム「A Hard Day's Night」は、カヴァー曲無しの、初の全曲オリジナルである。13曲が収録されていて、ジョン作が10曲・ポール作が3曲と、作曲数は圧倒的にジョンの方が多い。

 

 一般的にこのアルバムは、

 「ジョンの才能が爆発」

 「ジョンの創造力がピークに達した」

 等と、ジョンの功績ばかりが評価されて目立っている。

 

 しかし、このアルバムに収録されているポールの作品のクオリティの高さは、尋常ではない。アルバム内の、ジョンの作品に全く引けを取っていない。

 

 そこで今回は、アルバム「A Hard Day's Night」に収録されているポール作の3曲を紹介し、その多大な貢献度を述べてみようと思う。

 

1.「And I Love Her」

 ポールは、デビューアルバムの「Please Please Me」では、「P.S. I Love You」というバラードを手掛けているが、これは名曲とは言えないレベルである。

 また、セカンドアルバムの「With The Beatles」では、「Till There Was You」というミュージカル用に書かれた名曲バラードを歌っているが、これはカヴァーである。

 そこに、サードアルバムで、遂に自作バラードの名曲、「And I Love Her」が来る。この曲はジョンをして、

 「Yesterdayの前触れになる曲」

 と言わしめるほど、美しいメロディである。個人的には「Yesterday」以上の名曲だと思う。ポールの2013年の東京ドーム公演では、原曲に忠実なアレンジで、この曲が披露された。当時71歳のポールのヴォーカルは当然、ビートルズの頃と比較すれば圧倒的に衰えていた。しかし、原曲のキーのまま、この美しい曲を歌い上げるポールの姿は輝いて見え、鳥肌が立ったのを憶えている。

 個人的には、この曲を聴く為だけにアルバムを購入しても、損は無いと思えるほどの大傑作である。

 

2.「Can't Buy Me Love」

 ノリが良いロックで、間奏の荒々しいギターが印象的である。

 タイトルを見てわかる通り、

 「愛はお金じゃ買えない」

 とのメッセージ・ソングとなっている。

 ポールのライヴでは、定番と言っても良い頻度で、セットリスト入りしている。

 

3.「Things We Said Today」

 「ジャカジャン」

 というギターのイントロから始まる、マイナー調のメロディの曲である。この曲のクオリティも、ジョンが褒めている。

 

 この様にポールは、それぞれ全くタイプの違う作品を、アルバムに3曲、提供している。しかもそれが、ライバルのジョンも認めるほどの名曲揃いなのだ。いかにポールの作曲能力が幅広いか、よくわかる。

 

 ジョンの「A Hard Day's Night」での活躍振りは、確かに凄まじい。しかし、ポールが提供した上記の3曲が、アルバムの完成度を大いに引き上げ、多大な貢献を果たしている事を、もっと正当に評価して欲しいと感じる。

 

 今回は以上。

 

 それではまた!

 


 

 

 

名探偵コナン・レビュー6

「幽霊屋敷殺人事件」

    (コミックス2巻収録)

 

      登場人物

  江戸川コナン

  小嶋元太(こじま げんた)

  円谷光彦(つぶらや みつひこ)

       吉田歩美(よしだ あゆみ)

       阿笠博士

 

  事件関係者

  昭夫の父(被害者)

       昭夫(あきお・男性・犯人)

       昭夫の母

 

  事件の動機

  父親からの侮辱への怒り

 

 

 江戸川コナンとは帝丹小学校の同級生で、今後、少年探偵団として活躍する、小嶋元太・円谷光彦・吉田歩美の3人が初登場した話である。

 

 コナンは、学校で吉田歩美から唐突に、近所の洋館でのお化け退治に誘われる。その洋館は、5年前に家主の男性が何者かに殺害され、同居していた妻と息子は引っ越して、空き家になっているとのことであった。

 

 歩美の話によると、その洋館では

 

 ●夜中に恐ろしいうめき声が聞こえる

 ●迷い込んだノラ犬が、次の日に骨になって発見される

 ●窓に人魂が映っている

 

 等の怪奇現象が起きていて、それを歩美は、お化けの仕業だと思い込み、退治しに行こうと考えているのだ。話の一部始終を聞いていた円谷光彦は、科学の本を手に持ちながら、

 "科学の時代に、そんなものがいるわけない"

 という趣旨の事を呆れた顔で言うものの、この発言に対して小嶋元太が怒って、

 "お化けがいない事を証明する"

  のを、光彦に要求した。光彦は、半ば強制的にお化け退治に参加させられる事になったのだった。(笑)

 

 初登場時の元太には、乱暴な言動が見受けられ、まるでドラえもんに登場するジャイアンの様だ。その後は、

 "食いしん坊で、おっちょこちょい"

  というイメージが定着し、憎めないキャラになっている。

 

 翌日の放課後、コナン・元太・歩美・光彦の4人は、洋館前に集合する。正面の門が開かないが、元太が見つけた秘密の入口から中に入り、館内を探索する。コナンは、元太達の何気ない行動を見て、

 

●人目につかない場所に作られた秘密の入口

●止められていない水道

●窓が開いているのに、雨や風にさらされた様子が無い部屋

 

 という3つの観点から、洋館に何者かが出入りしていると確信する。元太達は、何も不思議に感じていない様子を見ると、やはりコナンは、

 "見た目は子供だが、頭脳は大人"

 である。(笑)

 

 洋館内で元太・光彦の2人が、相次いで行方不明になってしまう。その後、コナンと歩美は、何かを運んでいる髪の長い女性を発見する。追跡を試みるも、その人物は行き止まりで突如として、姿を消してしまった。コナンが床に扉を発見するも、自力で開く事ができない。

 

 ここで、またも阿笠博士の発明品である

「伸縮サスペンダー」が初登場する。これは、ボタン一つでゴムが伸び縮みするメカで、コナンは壁と扉にサスペンダーを引っ掛け、ゴムが縮む際の力を利用して扉を開けた。

 

 地下へと続く階段を下りると、オリの中で、髪と髭が伸びきって、まるで獣の様な男が奇声を発していた。そこへ、コナンと歩美が追跡するも、見失ってしまっていた髪の長い女性が現れた。女性は獣の様な男に対して、

 "5年も前の事だし、死んだ人はもう戻らないのだから、早く忘れなさい"

  という趣旨の話をしていた。コナンは話の内容から、

 

●オリに入れられているのは、洋館の家主の息子であること

●洋館の家主は息子に殺害されたこと

●髪の長い女性は、洋館の家主の妻であること

 

の3つを確信した。女性は、父親を殺害した息子の昭夫を、犯罪者にしたくない一心で、オリの中に閉じ込めていたのである。洋館の怪奇現象の一つ、

 "夜中に恐ろしいうめき声が聞こえる"

 というのは、昭夫が罪の重さに耐えかねて発した苦悩の声だった。昭夫は自首しようとしたが、母親はそれを許さなかった。母親が、

 "もう少しで時効、黙っていれば誰にも"

 という趣旨の事を言っているが、時代の流れを感じる発言だった。殺人罪の公訴時効は、平成22年に廃止されている。因みに、今回の話が収録されている、名探偵コナン・コミックス2巻の1刷が発刊されたのは、平成6年である。

 

 最後にコナンが、

 "あなたは一生この重荷を、息子に背負わせる気なのか"

  という趣旨の発言で昭夫の母親に迫り、2人を自首させる事に成功した。

 

 犯行動機は、受験に失敗した事を父親から、侮辱を込めた言葉で辛辣に責められた事への怒りだった。

 

 因みに行方不明になった元太と光彦は、館の外の草ムラで眠っていた。昭夫の母親に麻酔薬をかがされて、外に放り出されたのだった。

 夜が明けて洋館から出た4人は、それぞれの保護者からこっぴどく叱られるも、懲りることなく次のお化け屋敷を見つけて、再び冒険に行こうとするのであるが、そこは工藤新一の家というオチであった。(笑)

 

 お化け退治を目的として入った洋館で、迷宮入りする筈だった殺人事件を、子供だけで解決に導いたのは、ハッキリ言って凄い事である。小学1年生とは思えない少年探偵団の活躍は、その後も続いていく。

 

 今回は以上。

 それではまた!

 


 

名探偵コナン・レビュー5

●「奇妙な人捜し殺人事件」(コミックス2巻収録)

 

   登場人物

 

 江戸川コナン

 毛利小五郎

 毛利蘭

 阿笠博士

 

 事件関係者

 

 広田健三(男性・被害者・48歳)

 

   広田雅美(女性・偽名で本名は宮野明美・ジンに射殺される)

 

   広田明(広田健三殺害の犯人・男性・偽名・28歳)

 

   広田明から依頼を受けた探偵(男性・氏名不明)

 

   黒の組織

 ジン

 ウォッカ

 

 警察関係者

 目暮警部

 

 事件の動機

 共犯者の裏切りへの怒り

 

 

 阿笠博士の発明品である「犯人追跡メガネ」が初登場した話である。冒頭で、阿笠博士からコナンがメガネを譲り受けて、性能の説明を受けている。このメガネは、付属品の発信機シールを追跡対象に貼り付ければ、半径20キロ以内なら、どこにいても居場所を割り出せるというものだ。

 コナンは、コミックス1巻で阿笠博士の事を

 「風変わりな発明家で、自分じゃ天才といってるけど、作った物はガラクタばかり!!」

 と貶しているが、とんでもない。ハッキリ言って阿笠博士は天才である。工藤新一が幼児化してから、この話までの短期間に、

 「蝶ネクタイ型変声機」

 「キック力増強シューズ」

 「犯人追跡メガネ」

 と、三つのメカを発明した。そのどれもが、コナンが正体を隠しながら犯人を追い詰め、捕らえる事に役立つ優れ物ばかりである。今回は、この「犯人追跡メガネ」が大活躍する事になる。

 

 毛利探偵事務所に、

 「わたしの父を捜してください!!」

 と、自称高校生の広田雅美と名乗る女性が、依頼に現れた。東京に出稼ぎに来ている父親が、仕事を辞めて行方不明になり、警察が捜索しても見つからず、最後に毛利小五郎を頼ったという事だった。

 コナンが「犯人追跡メガネ」の性能を試そうとして、発信機シールを毛利蘭に貼り付けようとするのだが、コードに足を引っ掛けて転び、ソファに座っている広田雅美の腕時計に付着させてしまった。

 依頼から1週間後、探偵事務所のテレビで、たまたま競馬中継を見たコナンが、

 「ゴーカイテイオー」という馬名を耳にし、広田雅美の父親の広田健三が飼っている、4匹の猫の名前を組み合わせたのと一致している事に、メモを取りながら気付いた。蘭が何気なくそのメモを見ながら、

 「広田さんは、競馬好きだったのよ!!…競馬場に行けば会えるよ、きっと!!」

 と、突拍子も無い事を言い出すのだが、東京競馬場に足を運んだところ、本当に広田健三を発見してしまった。(笑)

 

 単なる人捜しであれば、これで一件落着なのだが、小五郎の連絡を受けた広田雅美が、住まいのアパートを訪ねたところ、娘と久々の再会を果たした筈の広田健三の顔は、恐怖で怯え、引きつっている様な表情であった。

 

 広田健三と雅美は、実際には親子ではなく、現金輸送車から10億円を奪った三人組の強盗犯の内の二人であった。広田健三は、強奪した10億円を独り占めしようとして持ち逃げした。そこで広田雅美は毛利小五郎に、残る共犯者の広田明は他の探偵に、それぞれ広田健三の行方を捜させた。広田雅美に居場所を突き止められ、

 「仕返しをされる」

 との恐怖で広田健三は、再会の際に怯えた表情となったのだった。

 

 ここで、広田健三には、毛利小五郎に助けを求めるという手段も有った訳だが、そうすれば命は助かっても必ず警察に通報されて逮捕される事になる。殺されるかもしれない状況に身を置かれるよりも、助けを求めて捕まった方が利口だとは思うが、人間は極限の恐怖を感じると、冷静な判断ができなくなると思う。

 

 後日、広田健三は、住まいのアパートで殺害されてしまった。犯人は広田明である。やはり、広田健三の金の持ち逃げに怒り、勢い余って殺してしまったのだ。広田雅美も行方不明になるが、コナンは、彼女の腕時計に発信機が付着している事を思い出して、追跡メガネで居場所を特定する。しかし、そこに彼女の姿は無く、広田明と遭遇する。

 

 ここで追跡メガネの電池が切れ、コナンは捜索を中断して探偵事務所に戻ってきたところ、毛利小五郎に対して

 「あなたも私と同じ依頼を受けたんじゃないかと気になって…広田さんを捜してくれという…」

 と述べる探偵が現れ、

 「私は、この男に頼まれたんです」

 と言って見せてきた写真に写っていたのは、広田明だった。

 

 広田明が、広田雅美の腕時計を身につけていると判断したコナンは、追跡メガネで居場所を特定し、滞在先であるホテルに踏み込んだ。この発信機が付着した腕時計は、元々は広田雅美の物だったが、広田明の腕時計が壊れてしまったので、代用品として与えた物であった。広田明は、青酸カリを飲まされて、部屋の中で死亡していた。コナンは、ホテルのエレベーターですれ違った女性が広田雅美だと気づき、後を追いかけるが、発見した時に彼女は銃弾を浴びて瀕死の状態だった。

 

 彼女は追いかけて来たコナンに、真実を告げる。広田雅美を撃ったのは、黒の組織のジンだった。広田雅美の本名は宮野明美で、黒の組織の末端構成員だった。彼女はジンと、

 "現金輸送車から10億円を強奪する仕事が終わったら、妹と共に黒の組織を抜ける"

  という内容の約束をしていた。しかし、ジンには最初から宮野明美との約束を守る気は無く、彼女を騙していたのだ。10億円強奪事件は、黒の組織によって計画され、宮野明美が指示を受けて実行犯を務めたのだった。広田健三と広田明は、宮野明美が誘って強盗の計画に加えたメンバーだが、ジンは事が済めば全員を殺すつもりでいた。広田明が飲んだ青酸カリは、ジンが宮野明美睡眠薬と偽って渡した物だった。広田健三は既に殺害されているので、残る宮野明美を消せば、強盗の実行犯を全員始末でき、黒の組織は金だけを入手できるという思惑である。この金は、コナンが先手を打って警察に回収させたので、黒の組織の手に渡る事は無かった。

 

 宮野の明美の妹の名前は宮野志保で、科学者として黒の組織に使われていた。組織でのコードネームはシェリーである。姉の宮野明美が組織に殺害された事に反発して歯向かったが、拘束されてしまい、自決しようとして隠し持っていたAPTX(アポトキシン)4869を飲んだところ、工藤新一と同じく身体が幼児化して手錠から手が抜け、逃げる事ができた。その後、阿笠博士の家で預かられて、灰原哀という仮の名前を名乗り、工藤新一の味方になって活躍する様になる。コミックス2巻では、彼女のシルエットのみが出ていて、初登場はコミックス18巻になる。コミックスの1刷は、それぞれ、2巻は1994年、18巻は1998年なので、4年を掛けて伏線が回収された事になる。

 

 僕はリアルタイムで原作を読んでいた訳ではないのだが、もしコミックを買わずにサンデーのみを読んでいたら、伏線そのものを忘れてしまいそうである。(笑)

 

 今回は以上。

 それではまた!

 


 

ポール死亡説の考察

 ビートルズの都市伝説である「ポール死亡説」を、読者の皆さんはご存知だろうか。

 その内容は、本物のポール・マッカートニーは、1966年11月9日に交通事故で死亡してしまい、その後はポールそっくりな替え玉の加入によって、ビートルズを存続させていたという、かなりぶっ飛んだものである。

 そこで今回は、

 1.事の発端と出された推論

 2.根拠とされたエピソード

 3.替え玉と言われたポールの実績

 

 以上の3点を見て、この都市伝説について考察してみようと思う。

 

 1.事の発端と出された推論

 アメリカの大学生が学生新聞に書いた記事が、「ポール死亡説」という都市伝説を生み出すきっかけになった。記事によると、ビートルズの曲の歌詞やアルバムジャケットに、ポールの死亡が暗示されているというのだ。

 その後、この記事から発生した「ポール死亡説」の証拠探しが世間的に始まり、噂は瞬く間に世界中に広まってしまった。

 そして、

 "ポールはレコーディング中にビートルズの他のメンバーと口論を起こし、怒りで不安定な感情で帰りの車を運転した結果、事故を起こして死亡してしまう。その後、世界中のファンを悲しませない為に、残されたメンバーはビートルズを存続させるべく、ポールの代役として、そっくりさんコンテストで優勝した「ウィリアム・キャンベル」を立てて、活動を続けた"

 

 というのが、出された推論であった。

 この推論について感じるのは、もし本当にポールが死亡してしまっていたとしたら、そっくりな代役を立てて、ビートルズを存続させるなどという茶番は、ジョン・レノンが絶対に許さなかったであろうという事である。ポールとジョンの絆は、とても深い。二人は、どちらか一方が書いた曲でも、クレジットは連名の「Lennon-McCartney」にするという事を、デビュー前から取り決めていた。お互いに才能を認め合い、絶対の信頼関係が無ければ、到底できない事だろう。

 またジョンは、ビートルズ解散後に

 「ポールの悪口を言っていいのは俺だけだ。他の奴が言うのは許せない」

 「人生のうちで2回、すばらしい選択をした。ポールとヨーコだ。それはとても良い選択だった」

 との発言を残している。

 ジョンにとって、ポールがいかに掛け替えの無い存在かわかる。そのポールが本当に死亡したのなら、ジョンはその時点で、誰が何と言おうとビートルズを終わらせていただろう。

 

 2.根拠とされたエピソード

 次に、「ポール死亡説」の根拠と言われたものを、いくつか挙げてみよう。

 

 ●アルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」の裏ジャケットで、他のメンバーが正面を向く中にポールだけが背を向けている。また、その上に「without you」という文字がある。訳すと「あなた無しで」という意味だ。しかし、この文字は、同アルバム収録のジョージの曲の歌詞であって、それがたまたまポールの上に記されていたという事である。なんと不気味な偶然だろう。(笑)

 

 ●ジョンの傑作、「Strawberry Fields Forever」のラスト辺りで「I buried Paul」(私はポールを埋葬した)という、男性の低い声が聞こえるという。これは、ジョンの声なのだが、実際には「Cranberry Sauce」(クランベリー・ソース)と歌っているとの事で、ポールとは全く関係無い言葉である。

 

 ●アルバム「Abbey Road」のジャケットに写っているフォルクスワーゲンのナンバーが、「28IF」であり、これは

 「もしポールが生きていたら28歳」

 という事を示しているという。

 

 他にも「ポール死亡説」の根拠とされるエピソードは沢山あるのだが、キリが無いのでこのくらいにしておこうと思う。よくぞここまで考えたものだと感心してしまう。

 

 3.替え玉と言われたポールの実績

 さて、もし「ポール死亡説」が事実ならば、本物のポールが死亡した後から2020年までのポール名義の曲は、全て替え玉の「ウィリアム・キャンベル」の作曲という事になってしまう。その実績はいかなるものか。全米チャートのビルボードで1位を獲得した曲とアルバムを挙げてみよう。

 

 ●ビートルズ(シングル)

  「Penny Lane」

  「Hey Jude

  「Get Back」

  「Let It Be」

  「The Long And Winding Road

    合計5曲

 

 ●ビートルズ(アルバム)

  「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」

   (ポール作・8曲)

  「Magical Mystery Tour」

   (ポール作・5曲)

        「The Beatles

   (ポール作・12曲)

         「Let It Be」

           (ポール作・4曲)

         「Abbey Road

   (ポール作・8曲)

          合計5枚

  ●ソロ・ウイングス(シングル)

  「Uncle Albert/Admiral Halsey」

  「My Love」

  「Band On The Run」

  「Listen To What The Man Said」

  「Silly Love Songs」

  「With A Little Luck」

       「Coming Up (Live At Glasgow)」

  「Ebony & Ivory」(スティーヴィー・ワンダーとのデュエット)

       「Say Say Say」(マイケル・ジャクソンと共作)

      合計9曲

 

  ●ソロ・ウイングス(アルバム)

※何も表記が無い作品は、全ての曲のクレジットにポールの名前が入っている。オリジナル盤のデータで、CD化に伴うボーナス・トラック等は除く。

  「McCartney」

  「Red Rose Speedway

  「Band On The Run」

  「Venus And Mars」(ポール作・11曲)

       「Wings At The Speed Of Sound」(ポール作・9曲)

       「Wings Over America」(ライヴ盤)

       「Tug Of War」

  「Egypt Station」

   合計8枚

 以上である。総計で、シングル1位が14曲・アルバム1位が13枚、驚異的な数字で唖然としてしまう。

 

 結論であるが、そっくりさんコンテストで優勝した替え玉の人物に、これほど多くのヒット作を生み出せる作曲能力が、都合良く備わっている訳が無い。この驚異的な数字こそ、今のポールが替え玉ではない本物であるという事実を、何よりも物語っているだろう。

 

 因みに、1993年に行われたポールの「ニュー・ワールド・ツアー」を収録したライヴ盤、

「Paul Is Live」は、「ポール死亡説」(Paul is dead)のパロディである。

 「僕は生きているよ」

 と言っているのだ。(笑)

 ジャケットは、「Abbey Road」のパロディなのたが、犬に引っ張られるポールが一人で写り、「ポール死亡説」の根拠とされたフォルクスワーゲンのナンバーは、「51IS」になっている。このアルバムがリリースされた時点でのポールの実年齢である。(笑)

 

 この様に、音楽の評価以外のところでも伝説になってしまうポールは、やはり凄い!

 

 今回は以上。

 それではまた!

名探偵コナン・レビュー4

●「赤鬼村火祭殺人事件」(コミックス2巻収録)

 

 登場人物

 江戸川コナン

 毛利蘭

 毛利小五郎

 阿笠博士

 

 事件関係者

 根岸正樹(男性・42歳・被害者)

   阿部豊(男性・42歳・犯人)

   根岸正樹の替え玉(男性)

 

 警察関係者

 目暮警部

 

 事件の動機

 保険金目当ての殺人

 

 話の冒頭に江戸川コナンが、帝丹(ていたん)小学校に転入する描写がある。コナンの本当の姿は、帝丹高校2年生の工藤新一であり、類稀な推理力で警察の捜査に協力し、数々の難事件を解決に導いた高校生探偵である。当たり前の話だが、実際は、どんなに頭脳が優れていたとしても、警察が高校生に犯罪捜査の協力要請をする事は無い。(笑)

 

その様な頭脳を持つ新一からすれば、小学1年生として、子供に混じって勉強するなんて、やってられないだろう。算数の授業を受けながら、本人も

「かんべんしてよ…」

と心の中で呟き、ウンザリした表情をしている。

 

 続いて体育の授業でコナンがサッカーをするのだが、ここで阿笠博士に作ってもらった、「キック力増強シューズ」が初登場する。阿笠博士は、工藤新一宅の隣に住む発明家で、APTX(アポトキシン)4869を飲まされて、身体が幼児化して身体能力が衰えた新一の力になる為に、様々な物を発明して与えている。「キック力増強シューズ」には、電気と磁力で足のツボを刺激し、筋力を極限まで高める性能がある。シューズの強さを中に合わせて、ゴールを目掛けてコナンがシュートを打ったところ、ボールはゴールネットを突き破り、なおも勢いが衰えずに大木に激突し、へし折ってしまった。まるでキャプテン翼のシュートの様だ。(笑)

コナンは、

「威力があるにも、ほどがあるぜ…気をつけて使わねーとな」

 と言っているが、下手をすればシューズ使用で殺人を犯してしまうレベルの威力である。

 

 事件解決の際に、コナンが「キック力増強シューズ」で蹴飛ばしたタイヤを、犯人の阿部豊の顔面に命中させて倒す描写があるが、見事に気絶してノビてしまっている。

 

 阿部豊は、大学時代から20年来の友人の根岸正樹に対して、

 「どちらが長生きするか、賭けてみないか?賭け金は…5億円でどうだ」

 と持ち掛けて、お互いに5億円の生命保険に加入し、三ヶ月後に根岸を殺害した。動機は、阿部が経営する会社の負債の3億円を、根岸に掛けた保険金で返済する事だった。そして、残る2億円を元に、国外での逃亡生活を企てていた。阿部は、自身のアリバイを確保する為に、根岸の替え玉となる男性を雇った。根岸そっくりの替え玉の男性を毛利小五郎に尾行させ、既に殺害されていた根岸を、生きている様に錯覚させた。死体を焼いたのは、このアリバイ工作の為で、死亡推定時刻を割り出せない様にするのが目的だった。

 記念すべき、「キック力増強シューズ」の初の犠牲者(?)が出た話であるという事が、印象的である。(笑)

 

 今回は以上。

 それではまた!