顧客と信頼関係を築く事の大切さ

 今回は、僕自身の体験を通して、仕事で顧客と信頼関係を築く事の大切さについて、述べてみようと思う。

 「ミスの犯人探し」という記事でも述べたが、僕は以前、ルート配送の仕事をしていた。リンクを貼っておくので、未読の方は、この記事も参考に読んで頂きたい。

 

https://bs-pm.hatenablog.com/entry/2020/11/06/231010

 

 僕が担当していた顧客は会社から遠い地域で、高速道路の利用が必須だった。

 ところが、会社が赤字経営に陥り、

 「経費削減」

 という言葉を毎日の様に聞くようになり、ある日、社長から突然、

 「今後は、高速道路を利用せずに客先へ向かうように」

 と言い渡された。

 これはハッキリ言って、無理難題だった。下道で客先へ向かえば、必ず納品時間に遅刻する事になる。これは業務遂行上、不可能な指示である事を正直に伝えたところ、社長は、

 「納品時間に遅れても良いから、下道で向かうように」

 と、耳を疑う様な発言をしたのである。遅刻が続いて顧客の信頼を失えば、取り引きを打ち切られるかもしれない。ここは絶対に削ってはいけない経費だった。

 

 しかしその後、社長の指示通りに動かざるを得ず、毎日の様に納品時間に遅刻する事になり、顧客の荷受け担当者から、

 「最近、いつも納品時間に遅れて来るけど、何が原因なのか」

 と問われた。僕は、返答に窮してしまった。まさか社長の指示で、納品時間に遅れる事を前提に下道で来ているとは、口が裂けても言えなかった。僕が暫く沈黙していたら、

 「君の事だから、何か深刻な事情があるのだろう」

 と声を掛けられ、それ以上は詮索されなかった。度重なる遅刻が僕個人ではなく、会社の問題だと察知した様な感じだった。僕自身は、その後に一言も責められる事は無かった。

 僕は、人と接するのが苦手で、顧客と雑談をする事は殆ど無かったが、常に礼儀正しい態度だけは心掛けていた。納品時間に遅刻してしまった際は、荷受け担当者には勿論だが、顧客の事務所にも謝罪に伺っていた。

 「一回の遅刻に対して事務所にまで丁寧に謝罪に来る事に、とても好感を持てる」

 と言われ、顧客とは良好な関係を築けていた。

 その後、僕ではなく会社に、顧客から納品時間遅刻への苦情が何度も入り、社長は渋々、高速道路を利用する事を許可したのである。

 最終的には、会社に苦情が入っていた事は疑い無いが、もし僕自身が顧客と良好な関係を築けず、信頼されていなければ、度重なる遅刻に対して叱責されて、厳しい追及を受けていたに違いない。しかも僕は会社と顧客の板挟みで、真実は言えない。社長からの理不尽な指示を実行した挙句、顧客からは責め立てられていたら、僕のメンタルは崩壊していたと思う。

 僕は一従業員として、社長の指示をそのまま実行していただけであり、また、そもそも無理難題である事を前以て伝えていたので、本件に関して会社から責められる事も、全く無かった。

 仕事に真面目に取り組む姿勢に対して、顧客から信頼されている事を実感した出来事だった。

 日頃の言動は常に見られているとの気持ちで、今後も仕事をしていきたいと思う。

 

 今回は以上。

 それではまた!